住宅業界に事務職の求人はある?
2024/04/23
住宅業界の事務職は総務、営業、技術の3つに分かれ、経験とスキルが求められます。求人は他の業界に比べて少なく競争が激しいため、PC操作や簿記、コミュニケーション能力が必須で、建設業経理検定試験や宅地建物取引士資格試験、日商簿記などの資格取得が有利です。未経験者は事前に必要なスキルや知識を身につける必要があります。
住宅業界に事務職はある?
総務事務は一般的な事務業務を担当し、特別な資格は不要ですが、PCスキルが必要です。営業事務は営業部門を支援し、見積書や契約書の作成などが主な業務です。技術事務は設計や現場監督を支援し、CAD図の作成などが主な業務です。
◇住宅業界における事務職
住宅業界の事務は、大きく分けると3種類です。
・総務事務
総合事務職は、事務業務全般を担当する部署で、特別な資格は必要ありません。主な業務はデータ入力や書類の整理、郵便物や電話の対応、来客対応などで、PCスキルが求められ、エクセルやワードの基本操作が必要です。
・営業事務
営業部門のサポートを担当するのが営業事務職です。書類の作成・管理や電話応対などが主な業務であり、見積書や契約書、請求書などの作成や顧客との電話対応が含まれます。
・技術事務
技術事務職は、設計や現場監督をサポートする職種であり、CADオペレーターとしてCAD図を作成する業務も含まれます。そのため専門的な知識が求められ、建築や建材に関する知識や、工事の流れや図面の使途、関係者への連絡手続きなどが業務です。
◇住宅会社によって業務はさまざま
ハウスメーカーでは、注文住宅でも一定のプランから設備やグレードを選択するため、事務職も定型的な業務が多いようです。また、事務職の人数が多いので分業体制が確立されています。
また、中小の工務店では、外注・受注、営業、設計など、全ての業務で事務作業が必要とされるため、事務職が様々な業務を担当することが一般的で、顧客対応を行うことも多いようです。
会社の一員として多岐にわたる業務に関わるため、事務職というよりも、総合職として幅広い業務をこなすこともあります。
住宅業界における事務職の難易度
住宅業界は専門性が高く、業務は複雑です。経理事務の経験者でも戸惑うことがあります。転職を考えるなら、日商簿記と建設業経理士の資格が役立ちます。
◇そもそも事務職のハードルが高い
IT系の専門職は求人倍率が4~5倍と人手不足が深刻化している一方で、一般事務職の求人倍率は0.37倍程度と低く、非常に競争率が高い状況です。
理由は近年、企業が一般事務を直接雇用するよりもアウトソーシングするケースが増えているためで、東北だけではなく、全国的に事務職の求人は少ないのが現状です。
◇住宅業界は事務でも専門性が高い
他業界の一般事務と比べると、住宅業界の事務は専門性が高いという特徴があります。そして、業務ではさまざまな専門用語を使用するため、覚えるまでが大変です。
また、業者との関係も複雑で、施主と各種施工業者や不動産業者など、様々な業者とのやり取りがあり、各業者との関係や受発注の管理も業務の一環です。
建設経理は一般的な簿記と勘定科目が違い非常に複雑で特殊であるため、他業界で経理事務の経験がある方でもはじめは戸惑うようです。
住宅業界の経理事務に転職する場合は、日商簿記をもっていることはもちろん、建設業経理士の資格もあった方がいいでしょう。
未経験で住宅業界の事務職を目指すなら事前にスキルを習得
現代の事務職では、PC操作が基本です。住宅業界では簿記スキルも必要で、費用計上や勘定科目の知識が役立ちます。建設事務では、作業員やクライアントとのコミュニケーションが不可欠で、柔軟性や応用力も求められます。
◇PC操作スキル
現代の事務職では、ほとんどの作業がPCを使用します。そのため、PC操作に関するスキルは非常に重要ですが、基本的な文字入力やワードなどの操作ができれば問題ありません。
◇簿記の知識
住宅業界では費用の計上や売掛金、分割支払いなどの処理が多く、簿記のスキルが役立ちます。また、住宅業界独特の勘定科目もあり、住宅業界における簿記スキルを身につけておくと転職にも役立ちます。
◇コミュニケーション能力
建設事務の役割は、従業員や現場監督などの作業員をサポートするだけでなく、クライアントとの接点も多いため、コミュニケーション能力が不可欠です。
また、作業員やクライアントそれぞれに対応する立場として、柔軟性や応用力も求められます。
サポート役として、周囲の状況に応じて適切に行動しなければならず、これらの能力は、冷静さや柔軟性につながり、万が一の状況にも適切に対処するために重要です。
そのため、企業によっては事務能力よりもコミュニケーション能力が重視されることがあります。
取得すると有利になりえる資格
建設業経理検定試験は建設業の経理知識と能力向上のための資格で、受験資格はありません。宅地建物取引士資格試験は不動産取引の専門家を示す国家資格です。また、日商簿記は経営活動の記録・計算・整理能力を測る試験です。
◇建設経理検定試験
建設業経理に関する知識と処理能力を向上させるための資格試験です。建設業経理士検定試験(1級、2級)は登録経理試験として、建設業経理事務士検定試験(3級、4級)は建設業振興基金が実施しています。どの級も受験資格はないため、誰でも希望する級の受験が可能です。
1級および2級の合格者は、5年間は経営事項審査で評価され、その後は登録経理講習を修了することで再び評価対象となります。
◇宅地建物取引士資格試験
不動産取引の専門家を示す国家資格で、重要事項の説明や不動産取引の仲介などは、宅地建物取引士にしかできない独占業務です
取得するには、宅地建物取引士資格試験に合格し、登録実務講習を経て登録が必要です。
◇日商簿記
企業の経営活動を記録・計算・整理し、経営成績と財政状態を明らかにする技能を測る試験です。
日商簿記は、日本商工会議所と各地の商工会議所が実施する、簿記の技能を測る検定試験で、1級・2級・3級・初級という4つの階級があります。
1級は大企業の経営管理や分析に役立つ高度な知識を持つことを示し、2級は商工企業の経理担当者に必要な基本的な知識を持つことを表しています。日商簿記は、経理、営業、管理担当者などあらゆるビジネスの場面で役立つため、転職に有利になるでしょう。
住宅業界における事務職は、業務の円滑な進行に不可欠であり、大きく分けて総務事務、営業事務、技術事務の3種類に分類されます。それぞれが異なる業務を担当し、住宅会社によって業務内容は異なりますが、一般的には多岐にわたる業務をこなす総合職としての役割が求められます。
住宅業界の事務職は専門性が高く、業務の複雑さや特殊性から、経験やスキルの要求も高いです。また、事務職の求人は他業界に比べて少なく、競争も激しい状況です。
PC操作スキルや簿記の知識、そしてコミュニケーション能力などが必要であり、さらに建設業経理検定試験や宅地建物取引士資格試験、日商簿記などの資格取得が転職に有利になります。
未経験で住宅業界の事務職を目指す場合は、事前に必要なスキルや知識を習得することが重要です。