建築士と設計士の主な違い~転職からキャリアアップも目指せる
2024/01/26

建築士と設計士の違いは資格の有無や設計可能な建築物の規模にあります。
建築士の資格は、建物の設計や工事監理を担当する専門家に必要なものです。一級建築士は最も難易度が高く、大規模な建築物から一般住宅まで設計可能です。二級建築士は定められた規模の建築物を担当し、木造建築士は木造の建築物に特化しています。
対照的に、設計士は国家資格が不要で、建築士をサポートする役割です。業務には施主との打ち合わせ、小規模な木造建築物の設計、建築士の補佐が含まれます。
建物の設計・工事管理を行う建築士の資格
建築士とは、建物の設計や工事監理を独占業務としている職種です。建築士として働くには、建築士試験を受検して資格を取得しなければなりません。建築士試験にも3つの種類があり、資格によって業務で扱える建築物の規模が変わってきます。
一級建築士
一級建築士は、国土交通省から認可を受けており、建築士試験の中で最も難易度が高い資格です。他の2つの資格より難易度が高い分、設計・工事に制限がなく大きい建築物から一般住宅など規模が小さい建築物まで、幅広いプロジェクトに参加できます。
一級建築士は、500㎡ある建築物や高さ13m、または軒の高さが9m以上の建築物の設計が可能です。そのためマンションやビルなどの高層建築物は、一級建築士でなければ携われません。
また、一級建築士は受験資格があり、二級建築士として4年以上の実務経験、または建築の指定科目を履修した上で実務経験を積んでいる方のみ受験できます。
二級建築士
二級建築士は、都道府県知事から認可を受けている資格で定められた規模の建築物でなければ設計できません。
高さ13m、軒の高さが9m以下で、1000㎡の2・3階建て木造住宅、30~300㎡以内の鉄筋コンクリート・鉄骨の建築物を設計でき、一般住宅の設計が想定された資格です。ただし、500㎡以下の病院・学校などの建築物であれば設計できます。
一級建築士と異なり、7年以上の実務経験または指定科目を履修していれば実務経験がなくても受験可能です。
木造建築士
木造建築士は、都道府県知事から認可を受けており、木造の建築物のみ設計できます。延べ面積が300㎡以下でかつ2階以下の木造建築物であれば住宅以外にも店舗・公共施設の設計が可能です。また、二級建築士と同様、学歴関係なく実務経験のみでも受験できます。
資格はなく業務の範囲が異なる設計士
設計士は建築士とは異なり、国家資格が不要です。建築士をサポートする役割を担っており、サポート以外にも事務・雑務も行います。感性やコミュニケーション、空間を把握する能力などが求められる仕事です。主な業務内容は大きく分けて3つあります。
施主との打ち合わせ
建築士と同様、施主との打ち合わせを行いますが、設計士だけで打ち合わせすることはなく、大体は建築士または営業担当者の同席で参加することがほとんどです。
施主のこだわりや要望をヒアリングするスキルが求められ、要望をヒアリングするだけでなく提案もしなければなりません。
小規模な木造建築物の設計
延べ100㎡未満の木造建築物であれば設計が可能なため、小規模の建築物であれば任せられるケースも多いです。ただし、建築基準法や条例などを守らなければならないため、資格は不要ですが専門知識が必要になります。
建築士の補佐
設計士は、設計補助や書類作成など建築士の補佐業務も仕事のひとつです。補佐業務は、キャリアアップや資格取得にもつながります。また、施主の需要や傾向などを知り、自分の個性を磨けるのもメリットのひとつです。
建築士と設計士の違いは?業務や年収
設計士と建築士は、住宅など建築物の設計・施工監理を行いますが、資格の有無や建築物の規模などいくつか違いがあります。主な違いは次の2つです。
建築物の違い
設計士と建築士では、設計できる建築物の規模が異なります。それぞれ設計できる建築物は、次のとおりです。
一級建築士
制限がなく、ビルやマンションなど高層建築物の設計・施工監理業務に携われます。
二級建築士
高さ13m・軒の高さが9m以下・3階建て以上の延べ面積300㎡(木造は1000㎡)以下の建築物の設計が可能です。また、2025年から高さは16mへ拡大されます。
設計士
2階建て以下の30㎡(木造の場合は100㎡)以下の建物の設計が可能です。上述した規模の建物であれば無資格で設計が可能なため、小規模の建築物の設計を任せられる場合もあります。
年収の違い
一級建築士
一級建築士の平均年収は約500万円で、これは日本の平均年収よりも高い水準です。月給に換算すると42万円で、初任給は約21万円が一般的です。アルバイトやパート、派遣社員の場合、平均時給はそれぞれ1,061円、1,858円です。
正社員の給与分布を見ると、ボリュームが多いのは486~565万円の範囲で、平均年収の500万円もこのゾーンに含まれます。全体の給与幅は329~958万円と幅広いため、勤務先や経験、求められるスキルによって大きな差が生じることがあります。
出典元:求人ボックス
設計士
設計士の平均年収は約465万円で、これは日本の平均年収よりも高めです。月給換算では39万円で、初任給は約22万円が一般的です。アルバイトやパート、派遣社員の場合、平均時給はそれぞれ1,093円、1,743円です。
正社員の給与分布を見ると、ボリュームが多いのは475~528万円の範囲で、平均年収の465万円はこのゾーンよりもやや低めです。全体の給与幅は313~744万円と比較的広いため、建築士と同様に勤務先や経験、求められるスキルによって差が生じる可能性が高いです。
出典元:求人ボックス
設計士から建築士を目指す
設計士から建築士になるには、まず建築士の資格を取得しなければなりません。建築士試験を受験するにも一定期間の実務経験、または指定科目の履修が必須で、一級建築士・二級建築士・木造建築士いずれも4年~7年以上の実務経験が絶対条件です。
建築関係の専門学校または大学で建築学科・土木科を卒業した場合は、卒業後に工務店などへ就職し実務経験4年以上で一級建築士の受験資格が得られます。
一方の二級建築士は、建築関係の専門学校・大学を卒業した場合は実務経験がなくても受験が可能です。建築関係の学歴がないなど、指定科目を履修していない場合は、一級・二級関係なく実務経験7年以上で建築士試験の受験ができます。
これから東北で住宅業界への転職を検討している方は、設計士から建築士を目指すのもひとつの選択肢としておすすめです。まずは工務店などに就職し、設計士として実務経験を積める企業を求人で探すとよいでしょう。
建築士は建物の設計や工事監理を担当する専門家で、建築士試験を受験して資格を取得する必要があります。一級建築士は最も難易度が高く、大規模な建築物から一般住宅まで様々なプロジェクトに参加できます。二級建築士は定められた規模の建築物を担当し、木造建築士は木造の建築物に特化しています。
これに対し、設計士は国家資格が不要で、建築士のサポートを行います。業務には施主との打ち合わせ、小規模な木造建築物の設計、建築士の補佐が含まれます。建築士と設計士の違いは資格の有無や担当できる建築物の規模などがあります。
