東北の住宅業界事情を紹介! 建築士と大工の違いとは?
2024/05/29
大工は木造の家屋や船などを建てたり修理したりする職人で、特に木造住宅の施工技術に長けています。一方、建築士は国家資格を持ち、建築物の設計や工事管理を行う技術者で、設計だけでなくトータルケアを担当します。
大工には特定の学歴や資格は不要ですが、建築士には一級建築士、二級建築士、木造建築士などの資格が必要です。また、建築士の資格は就職や転職、昇進や給料アップにも有利に働きます。
大工と建築士の違いとは?
住宅業界とひとことでいっても職種は多岐にわたり、職種によって仕事内容と求められるスキルが異なります。こちらでは、東北で住宅業界への転職求人情報をお探しの方のために、大工と建築士の違いについて解説します。
◇大工とは
木造の家屋や船などを建てたり修理したりする職人のことです。日曜日大工という言葉からも分かるように仕事そのものを指す場合もあります。仕事内容によって呼び方が異なり、宮大工、船大工、造作大工、家具大工などが挙げられます。
◇建築士とは
建築士法に基づき免許を取得し、建築物の設計や工事管理などを行う技術者のことです。建築士の免許には、一級建築士や二級建築士、木造建築士の3種類があります。注文住宅を建てる場合は、建築士に設計を依頼することが一般的で、大学で建築を学んで建築士を目指す人もいます。
◇大工と建築士の違いは何?
いずれも家づくりに携わる職業ですが、大工と建築士には違いがあります。大工は、木造の家屋などを建てたり修理したりする施工の専門家で、特に木造住宅の技術に長けています。
建築士は、建築物の設計だけでなく、工事管理やメンテナンスに至るまでトータルケアを担当する技術者です。また、建築士になるためには国家資格が必要ですが、大工になるためには学歴も資格も必要ありません。
大工がきついと言われる理由とは?
大工は、誰かの夢を形にでき手掛けた建物が残るため、魅力のある仕事です。しかし、その一方できつい仕事とも言われることもあります。その理由としては、年収があまり高くない、重労働といった点が挙げられます。
◇年収があまり高くない
厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、大工の年収は約405万円、「ハローワーク求人統計データ」による求人賃金(月額)月間は約27万円となっています。
なお、国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」を見ると、男性の平均給与は545万円、女性の平均給与は302万円、全体の平均は423.5万円です。以上のことから、大工の年収は一般的な給与水準よりもやや低い傾向にあると言えます
引用元:
国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」
厚生労働省「jobtag」
◇重労働である
大工は、木材や建築資材などの重い材料の運搬を日常的に行うため、重労働です。体力的な負担が大きく、腰痛は大工の職業病とされていて、腰痛により作業が困難になることも考えられます。
また、オフィスワークとは異なり、作業現場は空調設備が整っていません。夏場の炎天下での作業では、熱中症になるリスクもあります。
◇仕事量が左右されやすい
大工仕事は、天候と景気に影響されやすい職種です。大雨、雷雨、強風などの悪天候になると仕事がストップしてしまい、景気が悪いと新規の依頼が減少し仕事量が減ります。
大工の収入は日給換算で計算するのが一般的であるため、天候が悪い時期は収入が不安定になる可能性があります。
建築士には資格の取得が必要?
資格がなくてもなれる大工とは異なり、建築士になるためには国家資格が必要です。こちらでは、建築士に必要な国家資格の種類と、資格を取得する方法を解説します。
◇一級建築士や二級建築士を取得する
建築士の免許には、一級建築士、二級建築士、木造建築士の3種類があり、いずれも国家資格です。3つの免許の違いは、設計できる建築物の違いです。
木造建築士は木造建築物のみ、二級建築士は戸建て住宅など小規模な建築物に限られますが、一級建築士は小規模から大規模な建築物まで、あらゆる規模の設計ができます。建築士の免許を取得するためには、年に1回実施される国家試験に合格しなくてはなりません。
◇建築士の資格を取得する方法
二級建築士の国家試験を受験するためには、専門学校や大学で、指定科目において所定の単位数を修めるか、7年以上の実務経験が必要です。そのため、まずは資格が不要な大工の仕事に就き、働きながら独学で勉強し、建築士の資格を取得するという選択肢もあります。
二級建築士と一級建築士の勉強時間の目安と、合格率は次のとおりです。
・二級建築士
勉強時間の目安は、初学者で約700時間、実務経験者で約500時間です。合格率は20~25%です。
・一級建築士
勉強時間の目安は、初学者で1,000~1,500時間、実務経験者で700~1,000時間です。合格率は約12%です。
建築士になると得られるメリットとは
建築士は難易度の高い資格ではありますが、設計にかかわる職種を希望するなら、建築士の資格を取得することをおすすめします。建築士の資格を取得して得られるメリットは、次のふたつです。
◇就職や転職に有利になる
建築士の資格取得は、建築業界に属するあらゆる職業へ転職する際に有利に働きます。建築士の資格を取得していることは、専門的な知識と技術を有していると判断されるためです。
国家資格を受験していることで、積極性と、夢に向かって学び続ける姿勢で好印象も残せます。転職をするなら、建築士の資格を取得してから就活したほうが、希望の職場に就職しやすいでしょう。
◇昇進や給料アップにつながる
建築士の資格を持っていると高い専門知識を持っている証拠となり、住宅業界は働く際にクライアントからの信頼を得やすくなるのもメリットです。
信頼を得ると、幅広い建物の設計や監理業務を任せてもらえるようになり、受け持つ仕事が増えることで実績を積めます。このことは、将来的には社内での昇進や給料アップにもつなげられます。
大工は伝統的な技術を駆使して木造の住宅や船を建造、修理する職人であり、特に日本の木造建築において重要な役割を果たします。この職業には特に資格は必要なく、実務経験がその技術を継承する主な手段です。
対照的に、建築士は設計や工事管理などの幅広い建築活動を行う国家資格を持つ専門家です。建築士は、一級、二級、木造建築士の資格を持ち、それぞれが異なる種類の建物を設計できる範囲を定めています。
建築士は、高度な教育と資格試験を通じて、法規制、安全性、機能性についての深い知識を身につけています。彼らは建物の設計からメンテナンスまで、建築プロジェクトのあらゆる段階で中心的な役割を担います。
そのため、建築士の資格を持つことは、業界内での競争力を高め、キャリアのチャンスを広げるために重要です。専門的な知識を高めると設計だけでなくプロジェクト管理などにも携われるようになり、昇進や給料アップといった機会も得られるでしょう。