転職先の選択理由は?女性に優しい企業ほど成長しているって本当?
2023/06/13
日本では雇用において伝統的に男性優遇の傾向が強く、女性が働きやすい環境の整備は多くの業種・業界で課題となっています。今日では、働き方に対する考え方の変化や法改正などの影響から女性に優しい企業も増え、そうした企業が女性の転職先として選ばれるようになってきました。
全体的な傾向として女性に優しい企業は成長が著しいという特徴があります。女性が働きやすい環境を整備することは、企業側にとっても大きなメリットがあるといえるでしょう。
女性の採用や転職が注目される背景
今日では多くの企業が女性の採用や転職を積極的に実施・支援するようになり、女性が働きやすい環境が徐々に整ってきました。女性の採用や転職が注目される背景には、日本の社会で以下のような変化が生じたことが大いに関係しています。
女性活躍推進法の改正
日本では1985年に男女雇用機会均等法が施行され、労働における女性の社会進出が促されていました。しかし、この法律では「女性が働きやすい環境の整備」という目的において、内容が十分ではないことが指摘されており、この点に特化した法律として2016年4月に女性活躍推進法が施行されました。
女性活躍推進法は2019年に10年間の時限付きの法律として改正がなされ、今日に至っています。この改正女性活躍推進法は、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定を企業や自治体に義務付けており、女性の採用や転職を促すきっかけとなりました。
人口の減少
少子高齢化が慢性化している日本社会では、労働力の減少が多方面で大きな影響を及ぼし始めています。この影響により、かつては男性優遇の雇用を行っていた業種・業界でも女性の働き手に頼らざるを得ない状況になりつつあります。
グローバル化
欧米諸国では雇用における男女平等の考え方が広く定着しており、女性が重役を務めている企業も少なくありません。このような概念は、雇用における男性優遇が顕著であった日本にもグローバル化と共に浸透し始めています。
女性の進出が増えている業界・業種
女性活躍推進法の施行と改正により、国内の女性の社会進出は大幅に促進されました。その成果として、かつては男性の労働者が圧倒的に多かった業種・業界で、女性労働者の増加が見られます。とりわけ顕著なのは、建設業界とIT業界です。
建設業界
体を動かす仕事を主とする業界は男性の労働力に依存する傾向が強く、建設業界ではとりわけ男性優位の雇用が長年にわたって行われてきました。そのため、女性活躍推進法の施行以後、建設業界には女性の雇用促進に向けた積極的な取り組みが求められました。
多くの企業による取り組みの結果、総務省統計局の労働力調査では、建設業界において女性労働者が急増していることが示されました。従来から女性が多かった事務職だけでなく、施工管理などを担う技術職においても、女性の採用が積極的に行われたことが読み取れます。
IT業界
IT業界は数多くのエンジニアによって支えられています。一般的にエンジニアには論理的な思考力が求められるとされ、男性のほうが向いているという考え方が定着していました。実際、女性活躍推進法の施行以前は多くのIT企業でエンジニアの男性比率が極めて高く、女性エンジニアの採用や育成が課題となったのです。
多くのIT企業がこの法律の施行を契機に女性エンジニアの採用を積極的に行った結果、法律が施行された2016年を境に、企業で働く女性エンジニアは急増しました。また、最近では女性エンジニアの育成に力を入れる企業も多く、IT業界全体で女性が働きやすい環境の整備が進んでいます。
女性が転職したいと思う企業とは?
女性活躍推進法の施行・改正により多くの企業では更なる女性労働者の確保が急務となり、特に高いスキルや経験を持つ女性労働者の取り合いのような状況を生んでいます。企業にとっては女性が転職したいと思う環境を整備することも、喫緊の課題となっているのです。女性が転職したいと思う企業の特徴としては以下の3点が挙げられます。
女性社員が多い
既に多くの女性社員が働いている職場は、女性の転職希望者にとっても魅力的に映るようです。女性社員が増えることは女性が働きやすい環境を整備することにもつながり、そのことがさらに女性の雇用を促進するという好循環を生み出します。
育休産休制度が整備されている
多くの女性が就職や転職時に気にすることのひとつが、将来育休や産休を取れるのかという点です。今日では育休産休制度の導入が多くの企業で行われていますが、実際には職場に育休や産休を取りづらい雰囲気があるというケースも珍しくありません。職場内の雰囲気も含めて育休産休制度を取りやすい環境が整備されている企業も、女性にとって魅力的であるといえるでしょう。
「くるみんマーク」や「えるぼしマーク」を取得している
第三者機関による認定を受けていることも、女性が転職したいと思う企業の条件のひとつです。厚生労働省によるふたつの認証、「子育てサポート企業」として認定した企業が持つ「くるみんマーク」、女性活躍推進法にもとづき認定した優良企業が持つ「えるぼしマーク」の取得は重要な目安となります。
女性活躍推進法の施行・改正は国内における女性の雇用を促進させるきっかけとなり、今日では多くの女性にとって働きやすい環境の整備が社会全体で進んでいます。このような環境の整備を積極的に行っている企業は女性の転職希望者の選択肢となりやすく、それによって生み出される好循環は企業としての成長にも直結します。
一方、管理職や重役に関しては依然として男性が多いといった問題もあり、今後は女性がそれらの役職に就くための支援や人材の育成が多くの企業にとって課題となるでしょう。
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