東北の住宅業界の求人動向とは?今後の動向についても解説
2023/11/29
住宅業界の転職・求人動向は、営業職や専門職で新規登録者数が増加し、未経験者採用が増えています。新型コロナウイルスや、少子高齢化の影響により、人材や資材不足が深刻です。今後はM&Aやリフォーム業界の成長が期待され、異業種提携も進むでしょう。
東北地方で住宅業界に転職を考えている方は、今住宅業界が実際どのような状況なのかを把握しておく必要があります。例えば、営業職と専門職では状況が異なるでしょう。また社会の動きや世界情勢によって大きく影響を受ける業界でもあります。こちらでは、主に東北地方で住宅業界に転職を考えている方向けに、転職や求人の動向について解説していきます。
住宅業界の転職・求人動向とは?
東北で住宅業界に興味を持つ人にとって、気になるのは現在の動向ではないでしょうか。求人に応募する前に、住宅業界での求人動向について把握しておくと転職時に役立ちます。
営業職
転職サイトでは不動産・建築業を希望する新規登録者数が、2023年3月以降右肩上がりで伸びており、特に8月は5月に続いて高水準です。年齢別の登録者層では、30歳カテゴリー別で、不動産仲介営業が42%、住宅(ハウスメーカー)営業が21%と、仲介・住宅営業職が全体の約60%を占めています。
しかし、保有資格に関しては宅地建物取引士を持つ方が全体の14%に留まっており、不動産関連の資格取得者が少ないのが現状です。不動産営業職の求人数は、過去1年間で右肩上がりに増加し続け、2023年8月の求人数は同月比で167%増加しています。
多くの企業が採用活動を積極的に展開していて、特に若手から中堅層の人材不足が深刻化しているため、未経験者を積極的に採用する傾向にあります。
専門職
2023年3月以降の不動産・住宅業界への新規登録者は、6月と7月に一時的な低下が見られましたが、8月には5月に続く高水準を記録しています。不動産専門職では、41歳以上の登録者が全体の39%を占めています。
保有資格に関しては、宅地建物取引士が14%で最も多く、その次が管理業務主任者で5%です。なお、資格を持たずに専門業務に従事している方が多く、「資格なし」の方が全体の約8割を占めています。
不動産業は採用との競争が高まっており、専門職の求人ニーズは総合的に上昇傾向にありますが、6月をピークに落ち着いています。2023年6月~8月の新規登録者は、3月~5月と比較してわずかに減少し、求人数は113%増加しています。
住宅業界の動向と抱える課題
住宅業界へ転職する前に、住宅業界が抱える課題を知っておきましょう。
新型コロナウイルスの影響
国土交通省が公表した「新設住宅着工戸数の推移」によると、2013年に消費税増税前の需要で98万戸と大幅に増加しました。その後、一旦減少しますが2016年から数年は微増しながら同じ水準を保ち、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で81万5,340戸と大幅に減少します。
しかし、2021年には一応比5%増の85万6,484戸となり、5年ぶりの増加を記録しました。そして、2022年には85万9,529戸と2年連続の増加が観測されました。
これは、近年首都圏を中心にマンション価格が高騰したことで、戸建て住宅が再び注目されるようになったことが原因です。しかし、日本の少子高齢化を考えると、今後新築住宅の増加は見込めないのが現状です。
人材不足
少子高齢化が進む中、人材不足は住宅業界だけでなく、日本全体の課題です。多くの工務店経営者やひとり親方は高齢で、後継者不足により金融機関からの資金が厳しくなってきております。
特に建設業は、仕事が体力的にも精神的にも大変なイメージがあるため、若手の確保が難しく、ベテラン職人の技術を継承できないことは住宅業界では深刻な問題となっています。
資材不足
建設・住宅業界は、2022年よりウクライナ情勢による資材の高騰や急激な円安の影響で、未曽有の資材高騰に直面しています。現在、木材価格は下がりつつあり、鋼材価格は高い水準を見通しつつも、ピークアウトの兆しが見られます。
しかし、東京17区現場持ちの生コンの価格が2022年10月から1立方メートルあたり2,800円上昇し、1万7,800円という高水準で推移しています。
こうしたことから、生コンメーカーの経営にも影響を与え、東京地区生コンクリート協同組合は、2022年6月に1立方メートルあたり3,000円の値上げを決定し、2023年4月からはさらに1立方メートルあたり2,000円の値上げを予定しています。
こうした状況もあり、資材不足による価格高騰は、今後もしばらく続きそうです。
住宅業界の今後の動向とは?
住宅業界に転職を検討している人にとって、住宅業界の今後の動向は気になるのではないでしょうか。ここでは、今後の動向について解説しています。
M&A
M&A(Merger And Acquisition)は、「企業の合併と買収」を指す略語です。M&Aの手法には株式譲渡、事業譲渡、合併、会社分割がありますが、広義のM&Aでは、合併や買収だけでなく、提携(業務提携・資本提携)も含まれます。
住宅業界でも、資材高騰や後継者・人材不足が進む中、住宅メーカーによるM&Aが増えています。
一般的に、大量仕入れ・生産・販売を主とするパワービルダーなどの建売・分譲住宅事業は、事業規模の拡大に伴って経営の効率化が図りやすいため、同業者間のM&Aにメリットを見出しています。
しかし、注文住宅が主体の住宅メーカーは、同業者同士のM&Aよりも異業種や対面業種との統合を重視する傾向があります。逆に、住宅メーカーが売却側となる場合、技術力や人材力を持つ中小規模の工務店が、ハウスメーカーやパワービルダーの傘下に入り、徐々に事業を発展させていくケースがあります。
また、新たな成長戦略を見据えるためにファンド運営会社からの投資を受ける工務店も増加しています。
ストックビジネス
先ほどもお話しした通り、少子高齢化の影響で新築の戸建てやマンションの増加は見込めません。その中で、リフォーム業界は成長を続けていて、その背景には「在宅時間」が関係しています。
以前は旅行や娯楽に使われていたお金が、自宅での時間を快適に過ごすための設備や空間に投資されるようになりました。
また、リフォームは、空き家問題の解決にも期待されています。リフォーム市場の拡大を後押ししているのは、2014年に国際交流省が創設した「住宅リフォーム事業団体登録」制度で、この制度では、決められた基準を満たした会社のみが登録でき、登録された企業はロゴマークを掲示できます。
これより、消費者は安心してリフォーム会社を選べるため、リフォームに対するハードルが低くなりました。
住宅業界の転職・求人動向は、営業職を中心に新規登録者数が増加しており、未経験者を積極的に採用する傾向にあります。また、専門職の求人数も増加しています。住宅業界は、新型コロナウイルスの影響で新築住宅着工戸数が減少しましたが、2021年以降は回復傾向にあります。しかし、少子高齢化の影響で今後も増加は見込めません。また、人材不足や資材不足などの課題も抱えています。今後の住宅業界では、M&Aによる事業規模の拡大や異業種との提携が進んでいくでしょう。また、リフォーム業界は成長を続け、空き家問題の解決にも期待されます。
未経験者の方は特に、幅広い選択肢を持っておくとよいでしょう。こちらの「秋田市でおすすめの住宅会社3選」も参考にしつつ、住宅会社についても比較してみてはいかがでしょうか。