建築士に英語力は必要?東北の住宅業界における外国人労働者雇用についても解説
2024/04/23
住宅業界では、外国人オーナーによる建築需要と東北地方の建設業における外国人労働者の増加が英語の必要性を示しています。建築士にはTOEIC600点以上が要求され、自動翻訳ツールの活用も重要です。英語力の向上はキャリアアップや海外での就業の可能性を広げます。
住宅業界で英語が求められるシーン
外国人オーナーの住宅建築は需要があり、英語でのやり取りが必要です。東北では建設業での外国人労働者が増加しており、建設現場でも英語での説明が必要な場合があります。
◇外国人オーナーの住宅建築
外国人駐在員の居住住宅はもとより、移住を希望する外国人、あるいは日本にセカンドハウスが欲しいと考えている外国人からの一戸建ての需要は多いものです。このような施主たちとのやり取りには、英語が必要となる場合も少なくありません。
正社員での雇用も増え、長期で日本に滞在する外国人の割合は、年々増加の一途をたどっています。
◇東北では建設業で外国人労働者の雇用が大幅に増加
宮城県仙台市に本店を多く 地方大手銀行・七十七銀行がまとめたデータによると、2021年の外国人労働者が多い職種として、東北6県のうち5県で建設業がランクインしています。
外国人労働者も基本的には一定の日本語を習得していますが、場合によっては英語で説明する状況もあり得ます。
宮城県では、建設業に従事する外国人労働者の雇用が大幅に増加しており、施主としてはもちろんのこと、労働者としても外国人の活躍が目立ちます。
建設の専門用語の難易度は高い
英語で表記できても、相手が理解できるかは別です。建築業界の専門用語や業界独自の言葉には特別な意味があり、理解が必要です。例えば、「ドーナツ」は鉄筋コンクリート工事で使用されるスペーサー、「キャラメル」は工事床のスペーサーを指します。業界用語を正しく理解し、英語で説明できるよう努めるためには、専門用語辞典の研究が重要です。
◇英語で表記できても相手が理解できるとは限らない
例えば、「二重床工法」は英語では「dual floor construction method」と表記されますが、それがどのような工法で、どのような効果を得られるかを熟知し、英語で説明できるようでなければ、相手に理解をさせることはできません。補足説明なども含めて、卓越した英語力が必要となります。
建設に関する専門用語を日本語で正しく把握し、英語で説明できるようになるためには、住宅新報社から出版されている「8訂版 不動産取引用語辞典」などを仔細に勉強するとよいでしょう。
◇独特な意味で使われる業界用語が多い
建築業界では、「ドーナツ」「キャラメル」など、外国人でも理解できる一般的な言葉に、業界ならではの特別な意味が含まれていることも多い点に注意しなければなりません。
例えばドーナツは、鉄筋コンクリート工事で柱や壁などを施工する際に使用されるスペーサーのことです。ドーナツにはさまざまなサイズがあり、ひと目で区別しやすいよう色分けされています。
一方、キャラメルというのは鉄筋コンクリートで、工事床の施工時に使われるスペーサーのことです。
ドーナツとキャラメルの他に、「だんご(コンクリートなどに石膏ボードを接着する際に用いられる接着剤)」という言葉もしばしば使用されます。
住宅業界で働く建築士はできれば英語力をつけた方がよい
TOEIC600点が一般的な建築士の目安とされる英語力です。毎日1時間の勉強なら1年で身につきます。建設業界専用の自動翻訳ツールも登場し、業界用語の正確な翻訳を支援します。
◇TOEIC600点ほどが目安
英語力とひと口にいっても、観光旅行で通じる程度の英語から、専門性の高い会話ができる英語まで、レベルはさまざまです。
一般に、建築士の場合にはTOEIC600点ほどの英語力が必要だといわれています。TOEICで600点を取るためには、300〜400時間前後の勉強が必要です。つまり、毎日1時間勉強していれば、1年で必要な英語力を身につけることができるわけです。
TOEICの試験は北海道から沖縄までいくつもの会場で開催されており、年間の実施回数やテスト日程などは開催地によって異なります。詳しい日程や受験の申し込み方法などに関しては、TOEICのホームページで確認できます。
◇建設業界に特化した自動翻訳ツールも併用
建設業界ならではの専門用語も正しく翻訳できるツールが登場していますので、検索業界に特化した自動翻訳ツールを上手に利用して、営業の守備範囲を広げましょう。
建設業界で特に注目されているのは、飛島建設が翻訳システム開発のロゼッタグループと共同で開発したAI翻訳ソフト「e-Sense(イーセンス)」です。
多機能フリーハンズシステムのイーセンスは外国人技術者との同時自動通訳機能はもちろんのこと、遠隔地からの情報共有を可能にするコミュニケーション機能や建設現場におけるドライブレコーダー機能が付加されています。
こういったツールを併用することによって、より円滑な現場での作業を実現できます。
英語力を上げると建築士としてのキャリアアップがしやすい
英語力が向上すれば、最新の建築トレンドや国際的なセミナーへの参加が容易になります。海外での就業も可能で、建築士は多くの国で有資格制度が採用されているため、適切な英語力が必要です。
◇最新情報を入手しやすい
建築士が英語力をアップさせることによって、英語で提供されている最新の建築トレンドや技術、規制などに関する情報を入手しやすくなります。それだけではなく、国際的なセミナーや会議におけるネットワーキングや国際的な建築コンペティションへの参加などに関しても、英語力が大きなメリット となります。
◇海外でも働ける
十分な英語力があれば、海外で建築士として働くことも可能です。建築士は、海外でもほとんどの国で有資格制が採用されていますので、海外の求人に対応するためには、適切な英語力を有している必要があります。
英語が必要な住宅業界のシーンは、外国人オーナーによる住宅建築需要や東北地方での建設業における外国人労働者の増加が挙げられます。外国人オーナーや建設現場での英語でのやり取りが必要であり、正社員の雇用も増加しています。
建設業界では専門用語の理解が重要であり、例えば「ドーナツ」や「キャラメル」などの業界用語には特別な意味があります。
建築士にはTOEIC600点程度の英語力が要求され、自動翻訳ツールの活用も重要です。さらに、英語力の向上は建築士としてのキャリアアップにつながり、海外での就業も可能になります。