異業種から住宅業界へ転職できる?
2024/04/30
最近、東北地方を中心に、異業種から建設業界や不動産業界への転職が増加しています。約60%の転職者が異業種出身で、特に商社やサービス業からの転職者が多いことが調査で明らかになりました。この流れは、
建設・不動産業界が多様な背景を持つ人材を積極的に受け入れている結果、業界の成長と発展を促進しています。異業種出身の著名な建築家としては、レム・コールハース氏や安藤忠雄氏がおり、彼らはそれぞれ独自の視点を建築設計に活かし、国内外で高い評価を受けています。
異業種から建設業界・不動産業界への転職者は多い
近年、東北では異業種から建設業界や不動産業界への転職が注目を集めています。様々な経歴を持つ人々が、新たなキャリアの可能性を求めて、建設や不動産の分野で活躍する機会を見つけています。この傾向は、建設や不動産業界が多様な人材を歓迎し、その結果として成長と発展を促進していると言えるでしょう。
◇6割が異業種から建設・不動産へ
大手人材サービス会社が異業種からの転職について調査を行ったところ、建設・不動産業界への転職者のうち、前職が異業種だった人は約60%に上りました。
異業種の中で最も多いのは「商社」と「サービス」で、この2つからの転職者が80%以上を占めます。次いで、「インターネット/広告/メディア」と「小売/外食」が続き、どちらも70%台の割合です。また、「メーカー」でも異業種からの転職率は51.5%で、半数以上が異業種出身者です。
年代別に見ると、全年代で異業種からの転職割合は60%を超え、最も高いのは24歳以下で72.8%です。40歳以上でも65.9%と高い割合が報告されています。2014年の調査と比較すると、7年近くで異業種転職の割合が増加しており、年齢が上がるほど転職の可能性が低いというイメージは実際とは異なることが分かります。
◇異業種から転職した世界的な建築家
異業種から転職した世界的な建築家も多く見られています。レム・コールハース氏もその一人で、ジャーナリストとしての経験を積んだ後、建築大学に進学し、世界各地で公共施設を手がけました。レム氏の作品は20世紀以前の建築に影響を与えた要素を排除し、都市計画や人的リソースの循環など、より広い視点で建築を捉えているのが特徴です。
日本の建築界では、プロボクサー出身の安藤忠雄氏が注目を集めました。彼の作品はシンプルでありながら、独創的なアイデアが詰まっています。安藤氏は小さな個人住宅からスタートし、その後は商業施設や集合住宅、さらには寺院や教会まで幅広く手がけています。彼の作品は国内だけでなく、海外でも高く評価されています。
異業種から住宅業界への転職する場合の懸念点
異業種から住宅業界への転職は、新たな挑戦には期待がありますが、懸念点も存在します。異業種からの転職者が直面する主な懸念点には、業界特有の知識や経験の不足、求められるスキルや資格の違い、また業界内の人間関係や文化への適応が挙げられます。
◇建築業界は専門性が高い
建築業界では、工法や構造、施工工程、寸法、関連法律、図面の解読など、専門性が高いスキルが必要です。
特に、建築士や施工管理技士としての活躍には、国家資格の取得が必要になります。建築士と名乗るためには、一級建築士試験、もしくは二級建築士試験に合格しなければなりません。また、建築施工管理技士も国家資格であり、試験の難易度は高めです。これらの条件や競争率の高さから、建築業界への転職には専門知識や資格取得への取り組みが必要です。
◇年齢的にニーズがあるか不安
異業種から住宅業界に転職する際、第二新卒と呼ばれる25歳前後が最適とされ、20歳後半以降では不利になることがあります。27歳を過ぎると、一般的な中途採用と同じく、即戦力としてのスキルが求められます。しかし、施工管理職では未経験の受け入れが積極的に行われており、異業種からの転職者にとって魅力的なポイントです。
建設業は将来性が高く、施工管理の仕事は派遣会社を通じても選択可能です。派遣であっても正社員同様の大手案件に携わる案件もあるため、キャリア形成やスキルアップに役立てられます。
業界未経験でも転職は十分可能
業界未経験からの転職は十分可能で、経験や資格がないからといって諦める必要はありません。建設業界では新しい人材を求める声が高く、若手や異業種からの志願者も歓迎されています。そのため、新しい挑戦をしたいという意欲があれば、業界未経験でも転職が実現できる可能性があります。
◇専門知識は働きながら覚えていける
業界未経験でも、入社後には同僚や上司からの学びの機会が豊富であり、働きながら知識を身につけていけます。勉強を進めるためには、目標と計画を立てることが基本です。長期的な目標だけでなく、中期的なものや短期的なものも設定し、段階的に達成していくことが重要です。
また、計画を立てる際には現実的な見積もりを行い、無理なく続けられるように心がけましょう。転職後は新しい生活に慣れるまで時間がかかるため、焦らずに着実に学びを進めることも大切です。
◇20代・30代は歓迎傾向
20代は未経験で資格がなくても、建設業界では転職しやすい傾向があります。業界の高齢化を踏まえ、若手の採用に積極的な動きが見られ、求人情報でも未経験者でも歓迎している企業も多いです。経験や資格の有無にとらわれず、転職のチャンスを探ってみましょう。政府も若者の雇用改善に力を入れており、建設業界には期待が寄せられています。
また、30代でも転職は可能で、経験を積んでスキルアップを目指すための適切な年齢です。面接では前職の経験や対人関係のスキルをアピールし、積極性を示すことが重要です。
◇事前に資格を取得しておくと意欲をアピールできる
業界未経験で転職を検討する際、資格取得は重要なアピールポイントとなります。建設業界では若手の採用が盛んであり、資格の有無は高く評価されます。大手企業やゼネコンへの転職では実績や資格が求められることもありますが、建設業界は個人事業主も多く、採用のハードルは比較的低い傾向です。
特に宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーなど、業界に適した資格を取得することで、自己アピールの幅が広がります。
異業種から住宅業界への転職を成功させた事例
異業種から住宅業界への転職を成功させた事例には、さまざまな挑戦と成長の物語があります。一例として、異なる職種での経験やスキルを活かし、新たなフィールドでのキャリアを築いた人々がいます。
◇サービス業から施工管理への転職
あるハウスメーカーでは、サービス業から施工管理に転職したケースがありました。この方は前職の収入に不満を感じて将来を見据え、建設業界に興味を持ちます。以前の仕事で必要だったコミュニケーション能力や体力が建設業界でも活かせると感じ、転職を決断しました。
現在は新しい職場では基礎から学び直し、現場で修繕工事に携わりながらさらなる技術や業務の習得を目指しています。常駐現場では、チームで協力しながら様々な業務に取り組み、快適な仕事環境の中で成長することが可能になりました。
◇インテリアコーディネーターから建築士への転職
インテリアコーディネーターが建築業界での夢を実現するために、大学に再入学して建築士に転職した事例があります。この方はインテリアコーディネーターとしての経験を生かしながら、より幅広いスキルと知識を身につけるために建築士の資格を目指しました。
仕事と勉強を両立させる挑戦は容易ではありませんでしたが、その努力が実を結び、建築士とインテリアコーディネーターの両方の資格に合格します。現在は建築設計やインテリアデザインの両方の視点からプロジェクトにアプローチできる建築として活躍しています。
近年、東北を含む日本全国で異業種から建設業界や不動産業界への転職が顕著に増えています。特に商社やサービス業からの転職者が多く、彼らは新しいキャリアの可能性を追求して業界に新たな活力をもたらしています。大手人材サービス会社の調査によると、建設・不動産業界への転職者の約60%が異業種の出身であり、特に若年層の転職が活発です。
このトレンドは、建設・不動産業界が多様な経歴を持つ人材を歓迎する開かれた姿勢を示しており、それが業界の持続的な成長と革新に寄与していることを示しています。著名な例として、レム・コールハース氏や安藤忠雄氏のような世界的な建築家も異業種からの転職者であり、彼らはそれぞれの異なるバックグラウンドから得た独自の視点を建築に活かし、国際的な評価を得ています。
このように異業種から転職した人々が建設・不動産業界にもたらす新たな視点やアイデアは、業界に新しい風を吹き込んでおり、多様な経験が業界の発展に貢献していることは明らかです。これらの事例は、異業種からの転職が単なるキャリアチェンジ以上の価値を持つことを証明しています。