住宅業界へ転職!女性でも施工管理になれる?
2024/04/30
全国各地で施工管理技士の資格を持つ女性が増え、その割合が拡大している傾向にあります。2022年の国土交通省のデータによると、女性従業員は全体の約11%に過ぎません。女性の施工管理技士の合格者は増加しており、2019年の建築施工管理技術検定1級での女性合格者は過去最多の488名、2022年では1級の女性合格者比率が8.4%に上昇しました。
女性が施工管理を目指す際には、男性中心の職場環境や体力的な負担などの不安要素は残るものの、女性のコミュニケーションスキルや細かな観察力が施工管理職において重要視されています。
施工管理に携わる女性はどれくらいいる?
東北地方を含む全国各地で、施工管理技士の資格を持つ女性が増加しており、その割合は着実に拡大しています。このような傾向は、建設業界におけるジェンダーの多様性と女性のキャリア機会の拡大に繋がっていると言えるでしょう。
◇技能職における女性の割合はかなり少ない
建設業界では、技能職に従事する女性の割合がかなり少ない傾向があります。国土交通省の調査によれば、2022年10月時点で、女性従業員は全体の約11%に過ぎず、男性従業員14,861名に対してわずか176名でした。
ただし、この176名全員が施工管理を担当しているわけではなく、技能職全体の女性比率を示す数値です。しかしながら、建設業界において女性が技能職として活躍する機会や環境が改善されることで、将来的には女性の割合が増加することが期待されます。
引用元:国土交通省
令和4年建設業活動実態調査の結果
◇施工管理技士の資格を取得する女性は増加傾向
最近では、女性技術者の合格者数及び受検者数が増えており、施工管理技士を目指す女性が増えていることが伺えます。
2019年には建築施工管理技術検定試験1級の合格者のうち、女性は過去最多の488名で、全体の5.7%を占めました。同様に、2級の合格者も597名となっています。2022年には、1級建築施工管理技術検定の女性合格者比率が8.4%に上昇しています。
引用元:国土交通省
令和4年度 建築・電気工事施工管理技術検定(1級・2級)「第一次検定(2 級後期)」及び「第二次検定」合格者の発表
令和元年度建築施工管理技術検定「実地試験」(1級・2級)合格者の発表
施工管理を目指す女性が抱える不安とは
住宅業界は一般的に男性が多いため、女性にとっては馴染みにくく、不安を感じる方もいるでしょう。特に、男性中心の職場環境や身体的な負担、産休・育休の制度不備などが挙げられます。こうした不安要素は、女性が建設業界で自信を持って活躍する上でのハードルとなる可能性があります。
◇体力的に続けられるか
施工管理を目指す女性が抱える不安の一つに、体力的な問題があります。施工管理は長時間の立ち仕事や重い荷物の運搬など、身体的な負担が大きいため、女性にとっても大きな課題です。また、施工が予定通りに進まない場合は、休日出勤も珍しくありません。そのため、体力が持たなくなり、施工管理を続けることに不安を感じる女性もいるかもしれません。
◇男性中心の職場環境になじめるか
建設業界は男性が主体の職場であるため、女性にとっては馴染みにくい環境かもしれません。たとえば、社内設備が男性向けに整備されていることが多く、女性用の更衣室やトイレが不足していることがあります。また、女性が少ないため、産休・育休の制度が整っていない会社もあります。
さらに、男性中心の雰囲気が強く、女性が働きづらいと感じることも多いです。こうした職場環境への適応が、女性が施工管理を目指す上での不安の一つとなるでしょう。
女性の施工管理は住宅業界でもニーズが高い
女性が施工管理に関わることは少なかったのですが、近年では女性の参入が増え、その貢献が注目されています。
◇女性は施工管理に向いている
女性の施工管理は住宅業界でも需要が高く、男性中心の業界だからこそ、女性の視点や意見が重要視されます。
女性は一般的にコミュニケーションスキルが高く、職場や顧客との円滑なコミュニケーションを取る役割を果たすことが期待されます。また、細かいところに気づく傾向があり、これまで見過ごされていた危険な箇所を発見し改善することが可能です。そのため、女性のきめ細やかな視点は社内で高く評価され、顧客からの信頼も得やすくなりま
す。施工管理では、現場の職人や関係各社、クライアントとの円滑なコミュニケーションが不可欠であり、女性のコミュニケーションスキルの高さが期待されています。
◇サポート業務からスタートできる場合も
女性が施工管理のキャリアを始める方法の一つに、サポート業務から始めることが挙げられます。このポジションは、体力が心配な人や業界未経験の人でも取り組める仕事です。
また、「施工管理サポート」というポジションからチャレンジするほうほうもあります。施工管理サポートは主に事務作業が中心で、書類作成や各所への連絡、現場の写真整理などが主な業務です。建設現場での事務職として位置づけられ、女性にとっても働きやすい環境が整っています。
施工管理になれた女性の事例
幼い頃から憧れ、夢を追い求めて施工管理になった女性や、転職して施工管理に挑戦した女性の事例があり、多くの女性が施工管理職として活躍しています。
◇販売職から施工管理職へ転職した事例
アパレル業界での販売・接客や事務の経験を積んだ女性が、建設会社の施工管理職に転職した事例です。最初は建設会社で事務職を務めていましたが、会社の経営方針の変更に伴い、施工管理の仕事を任されました。
業界未経験で不安があったものの、社内のサポートがあり、厳しさを感じることなく仕事をこなしています。施工管理は難しいとの噂もあり、緊張されていましたが、周囲の方々が丁寧に教えてくれたおかげで不安を解消し、施工管理職の仕事で成功を収めています。
◇社内で初の女性施工管理職となった事例
幼少時から父の仕事を通じて建築やプラントの世界に興味を持ち、将来はこの分野で活躍することを夢見ていた女性が、施工管理職に就いた事例です。就職活動当時から施工管理職を目指していましたが、特に建設業界では女性の需要はまだまだ少なく、厳しい現実でした。
しかし、ある企業の求人に応募したところ、その企業では女性の施工管理職を採用していませんでしたが、企業はその女性に将来性を見出し、社内初の女性施工管理職として採用しました。
全国各地で施工管理技士の資格を持つ女性の数が増え続けており、その比率も着実に拡大しています。2022年の国土交通省の統計によると、女性従業員は全体の約11%しかいない状況です。しかし、一方で施工管理技術者としての女性の割合は、2019年の建築施工管理技術検定1級試験で488名の女性が合格し、全合格者の5.7%を占める記録を更新しました。2022年にはこの数がさらに増加し、1級試験での女性の合格者比率が8.4%に達しました。
施工管理職は肉体労働の重さ、また産休・育休の制度が整っていないことなど、多くの課題が伴うのも事実です。しかし、女性ならではの強み、特にコミュニケーション能力や細かい注意を払う能力は、施工管理の仕事で求められています。いきなり施工管理に就くのに不安を感じる場合は、事務サポートの役割からキャリアをスタートさせ、技術職の業界における経験を積むことも可能です。