住宅業界の施工管理へ未経験でも転職できる?
2024/04/23
住宅業界では施工管理の不足が深刻で、業務の管理・監督が人手不足によって困難になっています。高齢化や国家試験の難しさなどが人材不足の理由ですが、未経験者でも資格取得やキャリアプランの構築を通じて施工管理者として成長できます。建築施工管理技士や建築士の資格が役立ち、マネジメント能力やコミュニケーションスキル、判断力と柔軟性の向上が重要です。
住宅業界における施工管理は不足の傾向
施工管理は、建設現場での施工業務を管理・監督する重要な業務です。しかし、人材不足が問題視されている建設業界において、特に施工管理の不足が問題視されています。
◇施工管理の仕事は広範
施工管理は、建設プロジェクトにおいて業者や作業員に指示を出し、工事がスムーズに進むように調整するリーダー的存在です。
主な業務は原価・工程・品質・安全の管理で、建設業界で重要な役割を果たします。現場によって1人または数人で施工管理を担当し、他では複数のチームが連携して管理します。経験を積んでスキルを高め、上のポジションを目指すことが一般的です。
◇施工管理不足が続いている
建設業界は高齢化が進んでおり、平成28年の建設業就業者のうち55歳以上が33.9%で、29歳以下は11.4%です。
そして、施工管理を含む「建築・土木・測量技術者」の有効求人倍率は6.22と高く、この状況から若手の採用が難しくなっており、有効求人倍率が高いことがわかります。
施工管理不足が続いている理由は、労働条件が厳しいことや国家試験の難しさ、求める人材の基準の高さなどがあります。
また、若者の建設業界入職者が減少しており、最近では女性の施工管理も増加していますが、東北だけではなく日本全体で少子高齢化が進んでいるため、住宅業界における人材不足の改善が難しいのが現状です。
施工管理で役立つ資格の取得には実務経験が必須
建築施工管理技士は、建設現場の管理を専門とします。一方、建築士は建築の専門家で、設計や監理など多岐にわたる業務を担当します。
◇建築施工管理技士
建築施工管理技士は建設工事現場において施工管理の専門家です。
建築施工管理技士になるには、まず建築や土木関連の学科を卒業し、建設会社やハウスメーカーなどで経験を積むか、現場で実務経験を積みながら目指すことが一般的で、受験には実務経験が必須です。
2級は一般建設業にて営業所の専任技術者や各現場に配置される主任技術者になれます。一方で、1級は2級の対象範囲に加え、特定建設業で営業所の専任技術者や各現場に配置される監理技術者になれるという違いがあります。
◇建築士
建築士は、建築設計や建築物の設計、施工、監理などの専門知識を持つ建築の専門家です。
建築物の設計や施工に関わるさまざまな業務や、建築のデザインや構造、機能性、安全性、環境への配慮などを考慮しながら建物を創り上げます。建築士資格には、一級建築士、二級建築士の2つの種類があり、それぞれに特徴や受験資格が異なります。
一級建築士は最も難易度が高く、幅広い建築物の設計が可能です。受験資格は、四年制大学卒業後(指定科目の取得が必要)、または建築系の短期大学卒業後に2年の実務経験が必要です。
二級建築士は、概ね住宅規模の建築物の設計が可能です。受験資格は四年制大学卒業(指定科目の取得が必要)なら実務経験なしに受験が可能で、建築に関する学歴がなくても7年以上の実務経験があれば受験可能です。
未経験でも施工管理を目指せる
施工管理は、建築現場において、多くの作業者を統括し、工事をスケジュール通りに進める役割を果たす重要なポジションです。工事を成功裏に完了させる責任は大きいですが、未経験からでも目指せます。
◇未経験可の施工管理求人を探す
施工管理は多岐にわたる業務がありますが、未経験からでも目指すことができる仕事です。施工管理には建築施工管理技士や土木施工管理技士などの国家資格も存在しますが、資格は必須ではありません。
他業種から施工管理に転職した人の前職を見てみると、テーマパークスタッフや、飲食店勤務、不動産営業など様々な業種の人たちです。未経験から施工管理を目指すなら、未経験でも応募できる求人を探しましょう。
◇未経験から施工管理を目指す際のキャリアプラン
最初は基本的な業務からステップアップしていきます。法律により建築現場には施工管理技士が必要であるため、資格取得はキャリアアップにつながり、昇進や昇給にも影響します。
資格を持つ人は優遇されやすいので、キャリアアップのためにも資格取得を目指します。企業でも有資格者の増加を歓迎し、社内勉強会や外部支援制度などを通じて資格取得を促進する取り組みをしているところが多いようです。
資格取得を目指すなら、2級施工管理技士から取得するのが一般的ですが、実務経験が必要なので、早めに受験準備を始めましょう。
2級施工管理技士を取得後は、次は1級目指します。1級施工管理技士は大規模工事の監理技術者としての必要な資格ですが、難易度が高く、合格率は低いので、計画的に受験に向けての準備がおすすめです。
1級取得後も技術者としてのキャリアは続きます。建築士などの難度の高い資格取得や転職、独立など、様々な選択肢があるため将来のキャリアプランを考えましょう。
施工管理で役立つスキル
施工管理では、マネジメント能力が不可欠です。業者の把握や資材管理など多岐にわたり、仕事の優先順位をつけて効率的に進める能力が求められます。建設現場ではコミュニケーション力も重要で、チームワークや信頼関係の構築が必要です。さらに、急なトラブルに迅速かつ的確に対処する判断力や柔軟性も不可欠です。
◇マネジメントスキル
施工管理は、工事現場全体のまとめ役的存在です。工事の進捗や現場スタッフの状況を把握し、適切な業務を円滑に進めるためには、施工業者の把握や作業内容の確認、資材の管理など、様々なマネジメント能力が必要です。
複数ある仕事に優先順位を付け、重要度の高い仕事から片付ける能力があれば、広範囲の施工管理の仕事を効率よくこなせるでしょう。
◇コミュニケーションスキル
建設現場では、様々な職種が協力して建設物完成を目指すため、チームワークとコミュニケーション力が欠かせません。上司や部下との円滑なコミュニケーションはもちろん、現場作業員やクライアントとの信頼関係構築も重要です。
また、現場によっては周辺住民への説明も必要であり、丁寧な対応が求められます。
◇判断力と柔軟性
建築現場では、様々なトラブルが発生する可能性があり、急なスケジュール変更や予期せぬ問題に対処するためには、迅速な判断と適切な対応が求められます。
問題解決能力に優れ、的確な判断で工事を円滑に進められるスキルが必要です。
住宅業界における施工管理の不足が深刻化しています。施工管理は建設現場での業務を管理・監督する重要な役割であり、人材不足が特に顕著です。
施工管理者は工事全体を統括し、業者や作業員に指示を出し、工程や品質、安全を管理します。現場の業務は多岐にわたり、マネジメント能力やコミュニケーション能力、判断力と柔軟性が求められます。
施工管理不足の理由には高齢化や労働条件の厳しさ、国家試験の難しさなどが挙げられます。未経験からでも施工管理を目指すことは可能であり、資格取得やキャリアプランの構築が重要です。
建築施工管理技士や建築士などの資格取得が施工管理で役立ちます。施工管理に必要なスキルとしては、マネジメント能力、コミュニケーションスキル、判断力と柔軟性が挙げられます。これらのスキルを磨くことで、施工管理者としての業務を効果的に遂行できます。