注目度がアップしている建設ディレクターとは?仕事内容を解説
2024/06/26
建設ディレクターとは、建設プロジェクトにおけるバックオフィスからの支援役であり、文書管理やコミュニケーション調整、技術サポートを担当する重要な役割です。ICTツールの活用や新技術(例:ドローン測量)の導入を通じて、プロジェクトの効率化と透明性を高めます。
建設ディレクターには高度なITスキルが求められ、特に3D設計やBIMの知識が重視されています。また、民間資格の取得を目指す講座も提供され、未経験からの転職事例も紹介されています。この新たな職種は、建設業界における効率的なプロジェクト管理の鍵を握る存在と言えます。
建設ディレクターとは?
近年、急速に進化する建設・建築業界において、新たな職種として「建設ディレクター」が注目されており、東北の建設業界でもその認知度が広まりつつあります。以下では、建設ディレクターの役割や仕事内容について解説します。
◇建設・建築業界で新たに登場した職種
建設ディレクターは、建設プロジェクトにおいて主にバックオフィスから支援役を担う職種です。建設ディレクターの役割は、現場の実務者(技術者や作業員)が効果的に作業に集中できるよう、バックグラウンドで幅広いサポートを提供することにあります。
建設プロジェクトは多岐にわたる活動や関係者が関与するため、統括的な管理と調整が不可欠です。建設ディレクターは、プロジェクト全体の文書管理、コミュニケーションの調整、技術的サポート、ICTツールの効果的な運用などを通じて、プロジェクトの効率性と透明性を確保するための重要な役割を担います。
◇建設ディレクターの仕事内容
建設ディレクターの主な仕事は、書類作成とICT業務です。書類作成では、プロジェクト関連の報告書や計画書、契約書の作成と管理を行い、必要な書類の整理と共有を担当します。
ICT業務では、プロジェクト管理ツールや文書管理システムの運用を通じて、情報の効率的な管理と共有を支援します。また、ドローンなどの新しい技術を活用して業務の効率化に寄与するのも、建設ディレクターのひとつの役割です。
一定以上のITスキルが必要
現代の建設業界において建設ディレクターとして働くためには、一定以上のITスキルが不可欠です。特に、以下の技術が重要視されています。
◇三次元設計
三次元設計は、平面図や断面図などの二次元設計情報をもとに立体的なモデルを作成することです。建設ディレクターの仕事では、3DCADを使用した設計データの作成が求められることがあります。
この立体モデルの作成は、設計段階での構造上の問題や課題を発見しやすくし、設計の精度と効率性を向上させるために重要なプロセスです。近年では、BIMという技術が普及しており、三次元設計データを中心とした設計情報の一元管理と共有が可能になっています。
◇ドローン測量
ドローナ測量も、建設ディレクターに求められるひとつの仕事です。ドローン測量は、ドローンを使用して建設現場における空撮と精密な測量を行う業務です。建設現場全体の空中写真を撮影し、そのデータ(距離・高さ・角度など)をもとに図面化や地形のマッピングを行います。
ドローンの操作は専門的な技術を要するため、操縦者には適切な訓練が必要です。認定資格を持つ操縦者によって運用されることで、安全かつ効率的な飛行が可能となります。また、ドローンの飛行には厳しい法規制があるため、ドローン関連の法令の知識も必要です。
建設ディレクターになる方法
建設ディレクターの仕事は、無資格でも業務は可能です。しかし、民間資格を取得して「建設ディレクター」と名乗れるようになれば、専門知識とスキルの証明となり、信頼性を高めます。以下では、建設ディレクターの民間資格の取得方法を解説します。
◇建設ディレクター育成講座を受講
建設ディレクター育成講座は、建設業界における新たな職種である建設ディレクターの育成を目的とした教育プログラムです。この講座では、建設現場の管理業務やICT技術の活用方法など、建設ディレクターに求められる知識を学びます。
「第70期 建設ディレクター育成講座」の実施期間は、2024年8月5日から2024年9月27日までで、全9回の講座が行われる予定です。
◇資格取得までの流れ
建設ディレクター育成講座の受講対象は、「建設会社所属の社員」です。講座形式はオンデマンド講座(動画講座)とライブ講座の2つがあります。
講座内容は、建設業マネジメント、施工管理、入札と積算、建設ICT活用などの全9講座で、すべての講座の終了後に修了テストが実施されます。
申し込みから受講までの流れは次のとおりです。
1.WEBサイトのフォームから申し込み
2.リターンメールを確認
3.受講料を入金
4.事前説明(システムの使用方法などの確認)
5.受講開始
未経験から建設ディレクターになった事例
ここからは、建設・住宅業界未経験から建設ディレクターに転職した事例、また異動で建設ディレクターになった事例をご紹介します。
◇建築・建設業界未経験から建設ディレクターになった事例
保育士として働いていた女性が、建設ディレクターに転職したケースです。もともと地元で働きたいと考えていたこの女性は、コロナをきっかけにオンラインの育成講座を受講。資格を取得後に、地元の総合建設業の会社に入社しました。
現在その男性は、同社の土木部にて施工計画書や電子マニフェストなどの作成、キャリアアップシステムなどに携わっており、技術者たちからは「なくてはならない存在」という評価を得ています。
◇総務部スタッフが建設ディレクターになった事例
建設会社の事務職から、建設ディレクターになった女性のケースです。普通科の高校を卒業したこの女性はもともと事務職を希望していたため、建設会社の総務部の求人に応募しました。
同社はICT活用の必要性から建設ディレクターという新しいポストを設定し、総務部の女性を抜擢します。
現在その女性は、3次元レーザースキャナを使用した測量業務、測量データをもとにした3D図面の作成、現場写真の整理業務などを担っており、今後は現在所有している建設ディレクターの初級資格から、中級資格へのステップアップを目標としています。
建設ディレクターは、近年急速に進化する建設業界において新たに注目される役職です。彼らは建設プロジェクトにおいて、主にバックオフィスからの支援を担当し、現場の技術者や作業員が効果的に業務に集中できるようサポートします。その役割は、文書管理、コミュニケーションの調整、技術的サポートの提供など多岐にわたります。
特に、ICTツールの効果的な運用や新技術の導入(例えばドローン測量)を通じて、プロジェクトの効率化と透明性を高めることが重要です。建設ディレクターには高度なITスキルが求められ、三次元設計やBIM(Building Information Modeling)の知識が必要不可欠です。
また、建設ディレクターになるための民間資格取得講座が提供され、未経験からでもキャリアチェンジする事例もあります。例えば、保育士からの転職や総務部からの異動で建設ディレクターになるケースがあり、これらの人材が建設業界に新たな価値をもたらしています。