構造設計者とは?建築士との違いを解説
2024/06/26
構造設計者は建築物の安全性と耐久性を確保する重要な役割を果たします。彼らは建物や構造物の基礎や骨組み、主要な構造部材を設計し、地震や風、日常使用などの負荷に耐える構造を確保します。
具体的には、設計図面や仕様書をもとに、材料の強度や建物の荷重分散を計算し、現場で設計の適切な実施を確認します。また、建築士とは異なり、構造設計者は安全性と耐久性に特化した設計を行います。
業務は多岐にわたり、設計段階から施工段階に至るまで調整とレビューを行う重要な役割を担う職種です。専門性の高い仕事ではありますが、未経験者でも、アシスタント業務からスタートして必要なスキルを習得し、構造設計者としておキャリアを築くことが可能です。
構造設計者とは?
建築物の安全性と耐久性を確保するために不可欠な存在が構造設計者です。ここでは、構造設計の仕事内容や建築士との違いについて解説します。
◇構造設計者の概要と仕事内容
構造設計士の仕事は、建物や構造物の土台や骨組み、そして主要な構造部材を設計することです。構造設計士は建築家や他の専門家と協力して、建物が安全に建設され、地震や風、日常の使用などの負荷に耐えうるような構造を確保します。
具体的には、設計図面や仕様書をもとに、材料の強度や建物の荷重分散を計算し、適切な構造材料を選定します。また、施工中には現場を訪れて、設計が適切に実施されているかを確認し、必要に応じて修正や調整を行うのも仕事のひとつです。
◇建築士との違い
構造設計を行うには、建築士の資格を持つことが必要です。つまり構造設計者は、必然的に建築士の資格保有者ということになります。
建築士は、建築物の外観や内部空間、機能性、法的規制などを考慮しながら、設計図を作成します。一方、構造設計者は建物の安全性や耐久性に特化し、構造的な側面を設計するのが特徴です。両者はプロジェクトの異なる側面を補完しながら、建築の成功に向けて協力します。
構造設計者はきつい?
構造設計者になることは、建築業界における重要な役割を果たす一方で、いくつかの課題や注意点も考慮する必要があります。
◇業務量が多い
構造設計者の業務は非常に多岐にわたり、残業も多くなりがちです。具体的な業務としては、建物の設計図面をもとにした構造計算や解析、建物が受ける荷重や応力の計算、適切な材料の選定、地震や風などの自然災害に対する耐久性の検討・確保などが挙げられます。
構造設計者は設計段階から施工段階に至るまで、定期的なレビューや調整を行い、設計が現場で適切に実施されていることを確認しなければなりません。また、設計段階で予期せぬ問題や変更要求が発生することもあり、業務量が膨らんでしまうことが多くなります。
◇調整が大変
建物の設計には構造設計、意匠設計、設備設計など複数の専門分野が関与しますが、これらの分野はそれぞれ異なる視点や要件を持ちます。例えば、意匠設計の変更が構造設計に影響を与える場合、構造設計者は設計を再考し、補強や支持体の計算を修正する必要があります。
設計の各要素を調整しながら、設計チームとのコミュニケーションを図り、設計の全体像を見失わずに作業することは、構造設計者にとって精神的な負担が大きいです。構造設計者は、このような調整に膨大な時間と精神的なエネルギーを要することになるので、非常に骨の折れる仕事になります。
未経験でも構造設計者へ転職できる?
未経験から構造設計者への転職は可能ですが、その道のりにはいくつかのポイントがあります。以下で、詳しく説明します。
◇未経験でも採用される可能性はある
住宅業界では、人手不足を背景に技術者や設計者の需要が高まり、未経験者でも構造設計のポジションの求人が出されることがあります。東北の住宅業界でも、大手建設会社や設計事務所を中心に、新たな才能を求めて積極的な採用活動が目立ちます。
ただし、多くの場合、直接的に構造設計者として採用されることは稀であり、最初はアシスタント業務からスタートすることが一般的です。この段階では、先輩社員からの指導や経験を通じて基礎的なスキルを習得し、業務に慣れていくことが期待されます。
◇企業によっては学習や資格取得をサポートしている
多くの建築企業では、アシスタントとして入社した社員に対して、研修プログラムや資格取得のサポートを提供しています。未経験者でも必要な専門知識や技術を短期間で身に付け、最終的に即戦力に近い人材に育てることが目的です。
具体的には、CADソフトウェアの操作技術や建築構造の基礎、法規制に関する知識などを習得する機会や、資格取得を目指すための試験対策支援が行われます。これらの支援を受けながら、未経験からでも着実にキャリアを築いていくことが可能です。
構造設計者のキャリアアップに役立つ資格
ここからは、構造設計者になるために必須となる資格や、構造設計者としてキャリアアップを目指せる資格をご紹介します。
◇建築士
建築士は、建築物の設計や施工監理を行うための国家資格です。建築士の資格には、一級建築士、二級建築士、木造建築士の3種類があります。
一級建築士は特に大規模な建築物の設計や監理を行うことができるため、キャリアの幅が広がります。一級建築士の試験を受けるためには、二級建築士の資格保持が必須条件です。そのため、まずは二級建築士の資格取得を目指すことになります。
◇構造設計一級建築士
構造設計一級建築士は、一級建築士の資格を持ち、さらに高度な構造設計の知識と技能を持つことを証明する国家資格です。
この資格を取得することで、高度な技術が求められる大規模かつ複雑な建築物の構造設計を担当できるようになります。特に、耐震設計や高層建築物の設計に関する専門知識が求められるため、構造設計者としてのキャリアアップには非常に有利な資格です。
構造設計一級建築士の資格を取得するためには、まず一級建築士の資格を持っていることが前提となります。その上で、一級建築士として5年以上の実務経験(構造設計の業務経験)を積むことが受験条件となります。
構造設計者は、建築物の安全性と耐久性を確保するために重要な役割を果たします。彼らは建物や構造物の土台や骨組み、そして主要な構造部材を設計し、地震や風、日常の使用などの負荷に耐えうる構造を確保することが任務です。
建築士との違いは、建築士が建物の外観や内部空間、機能性、法的規制を考慮して設計を行うのに対し、構造設計者は主に安全性と耐久性に焦点を当てた設計を担当する点です。
設計の過程では、設計図面や仕様書をもとに材料の強度や建物の荷重分散を計算し、最適な構造材料を選定します。また、現場では設計が適切に実施されているかを確認し、必要に応じて修正や調整を行います。
構造設計者の業務は多岐にわたり、設計段階から施工段階に至るまで定期的なレビューや調整が必要です。ただし、未経験者でも、アシスタント業務からスタートし、先輩社員の指導を受けながら着実にキャリアを築くことが可能です。