将来性のある住宅業界に転職する為に知っておきたい住宅業界の課題と対策
2023/10/16
住宅業界で転職するなら、住宅業界の課題やその対策について知っておくことが大切です。2024年問題も住宅業界に大きな影響を与えるため、把握しておくとよいでしょう。
今回は住宅業界の抱えている課題や2024年問題による影響、また住宅業界がとるべき対策について解説します。
住宅業界が直面しているさまざまな課題
現在、住宅業界は以下のような問題に直面しています。
市場規模の減少
住宅業界が抱える課題のひとつが、市場規模の減少です。国土交通省のデータによれば、「新設住宅着工戸数」は微増しているものの、今後は減少すると予想されています。
経済低迷による購入意欲の抑制も理由ですが、それ以外にも30代の平均年収の減少、住宅購入者の人口減少などの多くの要因が関係しています。
また、単身世帯や少人数世帯の割合が増加しているため、家族向けの一戸建て住宅の需要が減少している点も市場規模の原因です。
出典元:国土交通省「建築着工統計調査」
少子高齢化
少子高齢化と人口減少も、住宅業界に大きな影響を及ぼす問題のひとつです。
総務省統計局のデータによれば、新築住宅の一次取得者である30代と二次取得者である40代の人口が減少しています。
さらに、出生数や生産年齢人口、若い世代の婚姻数も年々減少傾向にあり、住宅産業を支える若い世代が将来的にも減少することが予測されています。
新しい技術への対応
住宅業過が直面している課題として、新しい技術への対応があります。様々な業界でITやICT技術の普及が進展しているように、住宅業界もこれらの技術を有効活用し、より快適な住環境を提供する方法を模索しなければなりません。
最新のテクノロジーを活用した住宅は、省エネルギーで災害に強いという特長から普及が進み、市場規模は今後も成長すると予想されています。
また、生産性と業務効率の向上に貢献するIT化やIoT化は、人手不足の問題に対処する手段としても期待されており、早急な対応が求められます。
住宅業界にも影響を与える2024年問題
2024年問題は、住宅業界にも大きな影響を及ぼします。
時間外労働の制限
2024年4月から、住宅業界でも時間外労働に関する新たな規制が導入される予定です。これまで住宅業界では「36協定」を締結し、届け出があれば時間外労働に対する上限規制や罰則は適用されていませんでした。
しかし、2024年4月以降は、時間外労働に関する規制が適用され、特定の上限が設定されます。
具体的には、月あたりの時間外労働時間が原則として45時間以内、年間で360時間以内となります。ただし、特別な合意がある場合、つまりやむを得ない事情がある場合には、年間で最大720時間(月平均で60時間)の時間外労働が許容される特例が設けられます。
出典元:厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」
割増賃金の値上げ
2024年問題のひとつである割増賃金の値上げも、住宅業界に影響を及ぼします。2023年4月の労働基準法改正により、中小企業における法定時間外労働の割増賃金率が変更されました。
住宅業界においては、大企業は既に2010年から50%の割増賃金が適用されていましたが、中小企業には一定の猶予期間が設けられていました。
しかし、2023年4月からは、企業の規模に関係なく、月の時間外労働が60時間を超える場合には50%の割増賃金を支払わなければならなくなりました。
これにより、月に60時間を超える長時間労働に従事する従業員に対する人件費が、大幅に増加する可能性があります。
住宅業界が取るべき対策とは?
さまざまな問題に直面している住宅業界では、以下のような取り組みが必要になります。
海外進出
日本の住宅業界は、海外市場への展開を検討する必要があります。アメリカやオーストラリア、イギリスなどは人口増加に伴い住宅需要が高まっており、日本の建築技術やパネル工法を活かすチャンスがあります。
また、所得が増加しているアジア諸国などでは、高品質な住宅への需要が高まっています。日本の住宅業界が持つ高い技術力は大きな強みとなり、市場規模の拡大も可能です。
人材不足への対応
技術者の高齢化や労働人口減少による人手不足の対策として、働き方改革を進めていく必要があります。例えば、完全週休二日制や残業時間制限などを導入し、従業員の離職率低下を目指すといった取り組みです。
また、人手不足の課題を克服するための手段として、業務効率と生産性の向上を図るデジタル変革(DX)の推進も挙げられます。DX化を推進することで、労働者を増やさずに人手不足を解決できる可能性が高まります。
スマートハウス・スマートホーム需要の対応
スマートハウスとスマートホーム需要に合わせて、市場を発展させていくことも大切です。スマートハウスとは、家庭内のエネルギー消費を最適化するためにIT技術を活用する住宅を指し、スマートホームはAIやIoT技術を駆使して、効率的で快適な生活を実現する住宅です。
このようなIT・ICT技術を組み合わせた住宅は、省エネルギーで災害にも強い特長を持っています。環境への配慮やエネルギーに関する課題に対処するための解決策として、今後ますます需要が高まると予測されており、早急に対応していかなければなりません。
エンドユーザーを引き寄せる商品の開発
現代の住宅業界は、エンドユーザーに本当に役立つ商品やサービスを提供し、地域で自社の特徴をアピールすることが求められています。特に、若い世代向けの住宅は今後の主力市場となりますが、エンドユーザーの立場に立った提案が重要です。
例えば、家計やライフスタイルに合わせたプランを提供が挙げられます。収入だけでなく、教育費や生活水準など個々の要因を考慮して、提案することが大切です。
住宅業界は市場縮小、少子高齢化、新技術への適応、2024年問題など多くの課題に直面しています。市場の縮小は新設住宅需要の低下からくるもので、少子高齢化による若い購入者層の減少も影響しています。新技術への適応が求められ、スマートハウスとスマートホームの需要も増加しています。2024年問題に対処する必要があります。対策として、海外進出、人材不足への対策、スマートハウス・スマートホームの開発、エンドユーザーに合わせた商品提供が重要です。